『サウジアラビア 中東の鍵を握る王国』読了

アントワーヌ・バスブース 【訳】山本知子 集英社集英社新書) 219ページ 700円+税
 ウサマ・ビン・ラディンの祖国であり、アメリカの同盟国でもあるサウジアラビアの歴史と現状、そしてイスラムの中でも厳格なワッハーブ主義について記述した書。映画『華氏911』で、サウジで処刑される人々の映像が流れておりましたが、あれは誇張でもなんでもなく、むしろ大人しい部類であったんですな。犯罪に甘い処罰しか行わないどこかの国もそれはそれで問題ですが、行き過ぎた厳罰主義もなんですな。著者がフランス人である事を差し引いても、サウジアラビアという国が今とても危険な状況になりつつある事が理解できます。それにしても、どの世界でも金、権力のある者が強いって事ですかねえ。サウジ王家の独裁は、危険な部類ではあるけど、内に向くだけで外には向かわない、むしろサウジ王家がアメリカ向きだから、アメリカもなんも言わないんだろうなあ、ってのが、アメリカの嫌われる理由でもあるんでしょうな。アメリカの唱える正義は「アメリカの」正義ですから。
 2004年12月22日第1刷発行 ISBN:4087202747