『犯罪精神医学入門』読了

福島章 中央公論新社(中公新社) 231ページ 760円+税
 凶悪犯罪を犯した殺人者達の精神構造を分析した書。8人の児童を殺傷した池田小学校事件の犯人・宅間守が主に取り上げられ研究されておりますが、他に池袋通り魔事件、全日空機ハイジャック事件、連続射殺魔永山則夫なども取り上げられております。なんと言いましょうか、皆、脳に異常をきたしていた人ばかりだそうです。
 昨今は、重大犯罪の厳罰化が叫ばれているけど、上記事件の犯人達は総じて自殺願望を持ち、極刑にされるために大量殺人を行った節もあって、安直な厳罰化も問題だなあと・・・むしろ、軽犯罪の厳罰化こそ必要なのかもしれませんなあ。主に取り上げられている池田小のT・・・ワイドショー等、ほとんど観ないので知らなかったけど、これ程の犯罪を繰り返していたのか。つうか、病院の5階から飛び降りた時点で死んでいれば、8人の子供が殺される事も無かったのかと思うと、人の世は無常ですなあ。
 それにも増して、「Tの死刑執行はあまりにも早すぎた」・・・Tは脳腫瘍をわずらっていて脳腫瘍と精神病状との因果関係を調べるためには、慎重に観察する必要があった、という意見は『カスパーハウザーの謎』のラストを想起してしまって、ちょっと怖かった。
 2005年5月25日発行 ISBN:412101796X