『江戸の旅日記―「徳川啓蒙期」の博物学者たち』読了

ヘルベルト・プルチョウ 集英社集英社新書) 238ページ 700円+税
 江戸時代の紀行文学を外国人日本文化研究者である著者が記した書(日本語で記すのは6冊目だとか)。偏見があったわけでもないですが、日本人の学者と遜色なく読みやすい書籍で、むしろ著者名を見なかったら、全く気付かないでしょう・・・と思っていたら、ちょっとだけ日本語訳する際に手伝ってもらったそうです。紀行文から日本の実情を描きつつ、日本の啓蒙思想の形成に関して異論を唱えておりました。副題の通り博物学者が多いのですが、旅芸人が記した下世話な作品まで取り上げられているのは評価高いです。
 目次は、「貝原益軒の情報欲」「本居宣長の考古学」「天明の大飢饉をめぐって」「古川古松軒の批判的精神」「日本民族学の父と言われる男、菅江真澄」「新しいビジョンを提示した、橘南谿と司馬江漢」「参勤交代という名の博覧紀行-松浦静山」「富本繁太夫-十九世紀初頭に生きた旅芸人の日々」「新しい美的ビジョン-渡辺崋山」「松浦武四郎蝦夷探検」「江戸時代の旅と啓蒙思想」となっています。
 2005年8月22日第1刷発行 ISBN:4087203042