『多神教と一神教-古代地中海世界の宗教ドラマ』読了

本村凌二 岩波書店岩波新書) 221ページ 740円+税
 地中海周辺で勃興する宗教の変遷を記した書。メソポタミア、エジプト、ギリシャ、ローマの多神教(一部例外あり)から、ユダヤ教キリスト教イスラム教へと連なる一神教への流れを時代順に懇切丁寧に説明しながら、ゾロアスターやミトラ等の宗教までをも内包しております。音声言語から文字言語、すなわちアルファベットの開発・普及と、時代が危機と抑圧の刺激もまた多神教から一神教への移行を促す要因なった、とまとめております。取り上げているのが、地中海である以上仕方が無いのですが、中国はともかく、インド等がほぼ取り上げられていないのは、宗教を語る上で片手落ちという気がしなくもありませんでした。
 2005年9月21日第1刷発行 ISBN:4004309670