『グリム童話の世界―ヨーロッパ文化の深層』読了

高橋義人 岩波書店(岩波新書) 214ページ 700円+税
 グリム童話を題材に『ホントは残酷』・・・の様に分かり易く俗に徹するではなく、神学や民俗学を交えて、多少学術的な内容となっておりました。
 随所で日本の民話を引き合いに出す事で、西欧と日本の考え方の相違、特に人間と動物との関わり合い等にも触れておりました。直接には関係ない物がしばしばですが、図版も多く、非常に読み易い書となっております。
 物語の成立過程は無視、なんでもかんでも性的なものに結び付ける精神分析学による童話読解に対しては、多少否定的な意見となっています。
 目次は「メルヘンとは何か」「「シンデレラ」変身譚」「冬を追い払い、夏を招くシンデレラ」「「眠れる森の美女」よりも神話的な「いばら姫」「「ホレおばさん」からサンタクロース」「「白雪姫」の魔法の鏡の謎」「楽園を追われたラプンツェル」「「蛙の王さま」と「鶴の恩返し」」となっています。
 2006年10月20日第1刷発行 ISBN:4004310415