『徳川四天王』(上・下)読了

南原幹雄 角川書店(角川文庫) 525+339ページ 各巻:857円+税
 戦国時代、徳川四天王酒井忠次本多忠勝榊原康政、井伊直正)の生涯を、本多忠勝中心に描いた書で、基本的には家康(当時元康)人質時代から、関ヶ原後、榊原康政が亡くなる頃までとなっています。忠勝中心になるのは、忠次では途中で脱落するし、直正は登場が遅いし、康政は地味・・・と選択の余地もないので仕方ない。一番長生きしてますし・・・多分、知名度も一番高い?
 内容的には、著者の好悪が激しいのが、武官に優しく文官には厳しい見方となっており、武士個人の生き方を是として、家臣の為などの観点は全く欠落しているのが、江戸時代ものならともかく、戦国モノとしてはやはり物足りない。
 それと、私的に歴史小説で一番やってほしくないタイプのオリジナルキャラ(ともいいづらいが)が大活躍で、ほとんどの戦の裏に・・・ってのは、いただけなかった。ついでに忠勝が好色って訳ではないだろうけど、濡れ場が多くて、その為に描いて欲しかったシーンが削除されているのは泣けます。小松姫はあの後昌幸達に子供を見せに行くから美談なのに・・・オリジナルキャラの娘ってなんだよ、と感動の場面なのに呆然としました。
 この書籍は2003年9月に新人物往来社より刊行されたものの文庫化です。
上:平成19年2月25日初版発行 ISBN:9784041633496
下:平成19年2月25日初版発行 ISBN:9784041633502