『ベルガリアード物語 全5巻』読了

デイヴィッド・エディングス 【訳】1、宇佐川晶子、2・3佐藤ひろみ、4・5柿沼瑛子 早川書房(ハヤカワ文庫)
446+574+510+605+589ページ 1:820円+税、2・5:940円+税、3:900円+税、4:980円+税
 一人の少年・ガリオンがその運命に導かれるまま、神との戦いを経て成長していくファンタジーシリーズ。なんとも牧歌的と言いましょうか、主人公側にチート魔術師の父娘コンビがいるだけでなく、後半になると主人公も覚醒する為、軽いネタバレになりますけど、主人公の冒険行には全くもってハラハラドキドキする要素がないのがなんともかんとも・・・。
 逆に1巻解説にも記されているけど主体性がなく、空気になりがちな主人公に対して、彼の婚約者となる赤毛ツンデレ王女セ・ネドラが、その行動力と魅力で世界の軍隊を従えていく(飾り物としてだけど)様があまりに魅力的に描かれてしまっておりました・・・まあ、後半の戦争が開始されると、お飾りっぷりを発揮してましたけどね。何気に胸の無い事を気にしてたりと、昨今のアニメヒロインに通じるものがありますな。
 このシリーズ、2500ページ以上あるってのに、読了後振り返ってみれば、そんなに長い内容だったか? と疑問に思う程――面白い事は面白かったのですが――内容の記憶が伴わないから不思議。その分厚さから『指輪物語』の様な古典ファンタジーとして挑むと、肩透かしを食らう可能性が・・・。どちらかと言えば、文体に翻訳もの独特な調子がありますけど、ライトファンタジー系列でした。
 ってか、何気《真実の剣シリーズ》に設定が似ているんですなあ、と。もちろん真実の方が新しいけど、主人公が所持する運命の剣とか、味方の強い魔法使いの爺さんとか、女性が高貴な出で軍隊を率いるとか・・・まあ、よくある設定という事なんでしょうけどね。
 このシリーズは、1988年1月〜1989年3月に刊行されたものの新装版です・・・89年とは、そんなに古く無かったんだ、と今更ながら気付きました。どうりで摩由璃の本棚にも無いわけだ・・・いや、あったのか?
 さて、次は更に長そうなマロリオンだ・・・。
1「予言の守護者」:2005年2月20日印刷 2005年2月28日発行 ISBN:4150203806
2「蛇神の女王」:2005年3月20日印刷 2005年3月31日発行 ISBN:4150203830
3「竜神の高僧」:2005年4月20日印刷 2005年4月30日発行 ISBN:4150203865
4「魔術師の城塞」:2005年5月20日印刷 2005年5月31日発行 ISBN:415020389X
5「勝負の終り」:2005年6月20日印刷 2005年6月30日発行 ISBN:4150203911