『知られざる日本の恐竜文化』読了

金子隆一 祥伝社祥伝社新書) 273ページ 800円+税
 日本人は、恐竜好きが多いにも関わらず、その知識(マスコミ含む)は数十年前のものだったりとほぼ無知に等しい二律背反っぷりを記した書。様々な観点から恐竜文化のあり方が描かれており、日本人に恐竜好きが多いのは、(ほぼ)怪獣の影響と断じております・・・故に恐竜自体の詳細には無関心なのか? オタク経験が長い方らしく、『ゴジラ』やハリーハウゼンはともかく、『プロジェクトA子』や『マクロス7』やらの記載があったり、”萌え”を分析し始めたりと、一応は恐竜と繋げた記述ではあるものの、脱線が多いです(してはいないのか?)。
 ただし、好悪の情が激しいのか、絶賛するか罵倒するかのどちらかになる事があり、中でもマスコミはぼろくそに書かれていたります。逆に海洋堂は――元々の恐竜フィギュアの出来が良いからなんでしょうけど――後半、恐竜雑誌のスポンサー云々の経緯を読まされてしまうと・・・ちょっと愚痴っぽい文章が綴られているのは残念。
 恐竜オタクという言葉が連呼されておりますが、受動オタクに関しては手厳しく、しかも求めるレベルが非常に高い・・・オタクを名乗るなら、海外の論文を自分で翻訳するくらい能動的でなければ名乗るな、って程。
 目次は「経済的側面から見た恐竜文化」「恐竜ブームの虚像と実像」「恐竜学はオタクの科学」「日本の恐竜文化は、今」「恐竜学はどこへいく」となっています。
 2007年8月5日初版第1刷発行 ISBN:9784396110802