『外国人犯罪者 彼らは何を考えているのか』読了

岩男壽美子 中央公論新社中公新書) 234ページ 780円+税
 増加傾向にある来日外国人よる犯罪を、服役中の犯罪者アンケートから読み解く書。「日本人男子」「日本人女子」「外国人男子」「外国人女子」とに分類、更に外国人は、「中国人」等、地域別に分類して、事細かな統計結果となっております。ただし、アンケートですので、返答している総数が受刑者の半数程度だったり、外国人は地域によって少なかったり、綺麗事を記して返答も正直なものか? 等、疑えばきりがありませんけど、概ね公平な印象を受ける結果となっておりました。特に外国人犯罪者の性格や傾向が、本国の特色を見事なまでに現しているのは興味深かった。
 全てを総括して考える必要はあるものの、外国人犯罪者よりも、日本人男子の犯罪者は責任転嫁傾向が強く、反省も更生する気もない人間が多いという結果に性質が悪すぎて驚きます。まあ、その1/3は暴力団関係者で、高齢者が多く、再犯者が多い(社会がそれを受け付けない)というオチがあったりしますがね。この再犯者は再犯する確率が高いという意識が刷り込まれる為に悪循環が発生しているのが、現在日本なんですな。
 ちなみに更に性質が悪いのが性犯罪者。反省や更生の為、受刑しているという意識を持たない者が少なくはなく、犯罪を行ってしまうから服役している、と自覚している点が怖い。しかも、「更生する気がない」と答えたのが22%を占めるなど、(一部の)性犯罪者は再犯する気満々である事は問題ではあるなあ、と。
 目次は「グローバル化する日本の犯罪と体感治安の悪化」「服役中の犯罪者たち」「逮捕から服役生活」「犯罪者のリスク認知」「犯罪と価値意識」となっています。
 2007年8月25日発行 ISBN:9784121019110