書庫に預けていたゲームブック全巻(写真はFFシリーズのみ)が戻ってきました・・・別の用件で出庫させた、ついでなんですがね。

 と言う事で、先日購入したFF復刊ホビージャパン版『ハウス・オブ・ヘル』(以降「ヘル」)と、『デストラップ・ダンジョン』(以降「デス」)を、社会思想社版『地獄の館』(以降「地獄」)と、『死のワナの地下迷宮』(以降「死の」)と比較してみました。
 既に発売から一ヶ月近く経過している為、全項目を確認されて比較されているサイトさんも多々あって、今更後塵を拝するのもなんですし、似たような事を記しても意味は無さそうなので、あまり見かけない視点から比較しようかと思います。まあ、それ程大層な事はしていませんがね。
 で、まずは、「ヘル」と「地獄」・・・基本的なルールはもちろん、パラグラフや文章などの部分は、言い回しが微妙に違う点を除いて、ほぼ同じ。

 「ヘル」のイラストを描かれているのは、フライト・プランに所属されるSKさん。あっているかは分かりませんが、PS2版『ドラゴンシャドウスペル』で、マトリクスギアデザイン、イベントグラフィックを担当されたS.K.IIさんと思われます*1
 で、以前に萌え化してショックを受けた、云々記しましたけれど、絵柄は好みで実は気に入っていたりします。

 ただ、ホラーゲームブック地獄」として鑑みてしまうと、怖さ激減なのは、やはり残念。「地獄」本来のおどろおどろしさや、不気味さを全く感じられないんですよねえ。
 まあ、「地獄」では、声をかけたら呪われそうだった“可愛い娘”と記された少女が、「ヘル」で可愛くなっていたのは評価できる点ですが・・・まあ、結局、発狂するのは同じなんですがね。

 それと、長身の男。普通に美男子になっているんですけど・・・。同様に、基本男性キャラは美形(ダンディー)化してます。元があれだから、何とも言えませんが・・・。

 ちなみに後述する「デス」とは違い、性別まで変えられているキャラは見かけられませんでした。
 ってか、そもそも主人公が男性から女子高生に変えられていましたね。
 だから、こんな事にもなってしまいますし、

 BAD END「254」では、捕まった主人公のその後が描かれるのですが、
 「地獄」では「君はここに留置され、伯爵の慰み者になるだろう。」となっていたものが、
 「ヘル」では「伯爵のお楽しみまで、拘禁は続くだろう。」に改変されてました。
 さすがに「慰み者」と記すと、主人公が男か女かで捉え方が大きく・・・さすがに18禁を思わせる(?)響きになるから駄目だったんでしょうかねえ。
 ちなみに上記シーン、「ヘル」では新規に拘束絵が追加されておりました。逆にデュラハン、老人の死体の絵が、なくなっていたのは残念でした。
 ってな事で、ジャンル的なものもあってか、「ヘル」は女性向け? と思えなくもありませんでした。
 で、次いで「デス」と「死の」。

 「デス」のイラストを描かれているのは、カバーは空中幼彩さん、本文イラストは空中幼彩さんとあっとさん。
 空中幼彩さんは、HJの『クイーンズブレイド』でナナエルを描かれている方、あっとさんは『アライブ』で『こあくまメレンゲ』を描かれている方。絵柄的に近いものがある為、本文イラストに関しては、どちらが描かれているか微妙に判断つかず・・・レプラコーンの絵は、どう見てもピコなので、あっとさんだと思われます。
 で、こちらは、迷宮探検競技という設定自体が、『クイーンズブレイド』に通じるものがある為なのか、HJっぽくはっちゃけっておりました。
 まあ、地の文自体は、ほぼ同じみたいなんですけれど、主人公以外も性別が変更されているキャラが多々。


 それと、主人公が囚われるBAD END「347」では、抑えた表現になっていた「ヘル」と違って、
 「死の」では、「お前をわしの家来にして、来るべき年々の新しい挑戦者に備えてこの迷宮を整えるのに使ってやろう」となっていたものが、
 「デス」では、「ここでメイドとして仕えることを許そう。この地下洞窟で、毎年の挑戦者たちを迎える手伝いをさせてやるぞ」に改変されていました。
 もちろん、こちらも捕まった拘束絵(微エロ)が、新規に追加されていました。
 やはり、こちらは男性向け?
 ってな事で、両作品ともキャラを前面に押し出して、モンスターのみだったイラストにすら主人公を追加、(その手が好きな人向けに)ビジュアル的に見栄え良くしておりました。まあ、全ての文章を読んでいないのに記すのもなんですが、どうせなら文章も大幅に改竄してしまえば・・・まあ、版元から怒られそうですがね。
 その為、中途半端な作品となってしまって、知らない人にも知っている人にも微妙に勧めづらいんですよねえ。まあ、ゲームブック界を支援する為、買い続ける自分みたいな者はともかく、ちょっとでも興味を持った方は、創土社の《ソーサリーシリーズ》から入って頂ければなあ、と。
 で、次回は『デーモンズ・シティ』でも・・・なんて。

*1:DSS』設定資料中のイラストで、目の描き方や色の塗り方が似ている為