『名将 山中鹿之助』読了

南原幹雄 角川書店(角川文庫) 441ページ 743円+税
 戦国武将を題材にした第何弾だかは忘れたが《謀将・名将シリーズ》の最新刊は、尼子家家臣・尼子十勇士の筆頭山中鹿之助の生涯。当主として勝久を担ぎ上げてから、3度行われた尼子家復興戦を描きます。鹿之助を全てにおいて有能な武将としておりますが、そんなに嫌味が無いのは、著者ならではの筆致によるものなのか・・・池波さんの鹿と比すと。
 豊臣に殉じた真田幸村同様、滅びゆく家に忠節を尽くした感が強いけれど、尼子家に関しては、別所家が寝返らず秀吉の征西がうまくいっていれば、再興も可能だった点を考えると悲愴感は薄い。まあ、毛利を討ち滅ぼしたとして、信長が尼子家を残していたかは微妙な所ではありましたがね。
 鹿之助の子孫となる鴻池家による毛利家への意趣返しはなかなか良かった。
 この書籍は2007年11月に角川書店より刊行されたものを文庫化したものです。
 平成22年12月25日初版発行 ISBN:9784041633557