『白痴』(全2巻)読了

ドストエフスキー 【訳】木村浩 新潮社(新潮文庫) 600+560ページ+ 上:640円、下:600円
 再読。
 ドストエフスキーの考える「無条件に美しい人」を、知性はあるものの、性情から白痴(ばか)と呼ばれる公爵に当てはめて、彼がロシアに戻ってからロシアを去るまでを描いた作品。ぶっちゃけ、内容をほとんど勘違いして覚えていた程、内容は覚えていなかったのですが、きちがいと連呼される女性に公爵が振り回されるだけの話でした。まあ、本人は幸せそうではありましたがね。
 思想的なものを登場人物に代弁させるのが著者作品――だけではないが――の特徴ですけども、公爵の語る死刑廃止論は、死刑は必ず執行されて逃げることができないのは残酷じゃないか(殺人犯に殺された人は逃げるチャンスがあったでしょ、と)危うく死刑になりかけたドストエフスキーの弁だから許容するが・・・って、本人助かってんじゃん。と、本人の皮肉なのかというのを楽しむ書でもありました。
上:昭和45年12月30日発行 平成5年3月15日39刷 ISBN:4102010033
下:昭和45年12月30日発行 平成3年11月10日34刷 ISBN:4102010041