『上杉三郎景虎』読了

近衛龍春 光文社(光文社文庫) 746ページ 952円+税
 戦国時代、北条氏康の子として生を受けながら数奇な運命を辿り上杉謙信の養子となり、謙信死後の御館の乱で散った三国一の美男子・上杉三郎景虎の生涯。いくら美化して描こうとしても愚将の域を出ていないのがとても哀れでした。ただし、景虎をここまで綿密に記した書は珍しい上に、義に生きる好男子と描かれ、逆に敵役となった上杉景勝直江兼続ペアが酷薄で義を忘れた将として描かれているのも新鮮でした。まあ、後半になると景勝が急に良将へと変貌している嫌いがなくもありませんでしたが・・・。
 それにしても、上下巻に分ければ良いのに・・・と思うほどの分厚さ。片手で持つにはあまりに重くて読書を中断した程。まあ、『佐竹義重』の時のような話が中途半端になるよりはましなんだろうけど・・・上下で1200円は高く感じないけど、1冊で1000円は高く感じてしまう。
 この書籍は2001年4月に角川春樹事務所より刊行されたものの文庫化です。
 2005年3月20日初版1刷発行 ISBN:4334738524