ダーウィンの悪夢

 昨日の話ですが、映画の感想と併せて本日記入となります。
 って事で、福袋ツアー後、福袋を提げながら渋谷のシネマライズへ・・・単館上映なので仕方ないとはいえ、せめてシネパトス辺りであれば近かったんですけどね。
 渋谷では、あまりの人の多さに辟易としつつ、久々のシネマライズで場所が分からず・・・もう一度行けと言われても多分行けない。
 目的は、先月末に公開されたドキュメンタリー映画ダーウィンの悪夢』を鑑賞です。
 テレビなどで取り上げられたからなのか、それなりに人が入っておりました。多分、50人程はいたかもしれません。
 魚(ナイルパーチ)を放流したばかりに生態系の壊れたヴィクトリア湖。その魚が儲けとなり拝金主義が蔓延する事になったタンザニアの暗部を描くドキュメンタリー映画
 ドキュメンタリー映画は、監督の意向が強く表出するので、何が正しい、正しくないと軽はずみには判断できないのですが、時折放映されるアフリカ旅行ものを作成するマスコミ関係者や、「アフリカの人々は目が綺麗だ」とか、「本当の笑顔がある」とか言っているレポーター達は、この作品を観るべきですな。
 登場する子供達の多くが、無邪気に目をキラキラさせて良い笑顔をしていますよ・・・ストリートチルドレンだったり、麻薬や売春、喧嘩に彩られていますがね。
 まあ、濁った目をした子供も十分登場していますが、
 そこら辺はカットされて、
「貧しいけれど、今の日本の子供達には無い真の笑顔がある」
 とかオチにされるんだろうけどな。
 基本、淡々と進むために非常に眠気に襲われる事もありますが、観客へのサービスなのか適時入る航空機の爆音で目覚めさせてくれます。自分も、冒頭の30分程は眠くて仕方なかったのが、この爆音で目覚めさせられました。
 まあ、内容はシビアで興味深かったので、一端目が覚めて話が動き始めて以降は眠くなる事は無かったものの、音だけはうるさく感じました。
 それと、身障者の子供達をやけに映すのが気になりました。それだけ悲惨な状況であるのかもしれないけど、子供達が登場するシーンのラストが概ね身障者の子供が片足で走っているシーンだったりするのは、押付けがましく非常に興醒めでした。麻薬・・・と言うのもおこがましい発泡スチロールを溶かしてそれを吸っている子供達の姿を観ているだけで十分その悲惨さは伝わってきます。
 とまあ、作品自体は単純には語れないものとなっておりました。
 実際、武器の密輸関連をメインにしたかったんだろうけど、ちょっと突っ込み不足には感じました・・・あのパイロット、今も無事に仕事を続けているんだろうか? ロシアだしなあ。
 戦争を肯定する現地の人々・・・それが生活に直結しているがために人を殺す事も厭わないようになっている様。インタビューでも、賢い方が生き残る、出なければ殺されるだけ、と淡々と語る元兵士の夜警とか・・・。
 そう言えば、この映画を観てナイルパーチ不買運動が行われたとかで、監督も後で記しているけど逆効果だよなあ。ってか、ヨーロッパ・日本に輸出されるものとは別に、綺麗な部位を省かれて残飯としてアフリカ民衆が食べることになる魚の扱いのぞんざいさを観て気持ち悪くなっただけなのではないか、と勘繰り。
 『ひぐらし』が目じゃない、蛆の大群にまみれた魚の映像は、あまりに衝撃的過ぎますよ・・・しかも、それがその後民衆の食糧となる訳ですからねえ。
 って事で釈然としないものもありましたが、面白い映画でした。
 ドキュメンタリー慣れしていない方には辛いかもしれませんが、観て損は無い映画と思われます。
 話はがらりと変わるけど、冒頭の予告で新海誠監督の『秒速5センチメートル』(サイト)の映像を観ながら・・・1時間の映画のために、また往復3時間以上かける訳ですな。値段が安いのが救いだけど・・・。
 それと、『善き人のためのソナタ』(サイト)が、ちと気になりました。
 ヴェルナー・ヘルツォーク絶賛かよ! と。