『野望円舞曲 3』読了

田中芳樹荻野目悠樹 徳間書店徳間デュアル文庫) 286ページ 676円+税
 ジェラルド側しか面白くなくなってきていると言うのに、ほとんどページを割かれていないとか・・・ってことで、彼は陰謀によって何度も撃退した敵側のボスポラスの駐在大使として、死地へと追いやられるのでした。
 何気、ボスポラスは、ケマルは(通常、イメージされる姿も)信長だし、ケペルは秀吉だし、織田家をイメージさせられるのが、『英伝』を読んでいると中華史を想起するのと同様で楽しいんですよねえ。
 故に、相変わらず主人公であるエレオノーラが酷過ぎて、読むのはしんどいです。
 自らの野望の為、兵乱を誘発して下民層の生活を逼迫させる→問い詰めると弱肉強食だから、文句があるなら来い→住民叛乱が起こる→叛乱鎮圧の過程で手下の父親が、鎮圧部隊を指揮する兄に殺される→兄は許さない、仇を取ってやる→仇を取ってめでたしめでたし。そもそもの元凶はエレオノーラなのだが、そんな事実は後半には忘れ去られて、とても釈然としない。
 2001年6月30日初刷 ISBN:4199050590