『氷と炎の歌1 七王国の玉座 全5巻』読了

ジョージ・R・R・マーティン 【訳】岡部宏之 早川書房(ハヤカワ文庫)
297+301+366+363+361ページ 各巻:700円+税
 《氷と炎の歌シリーズ》第一部開幕。
 絶対的な支配を誇る古代王朝を駆逐した(勇者であった)王の統治する国家を舞台にしたファンタジー小説
 なんですが、この第一部に関しては、ファンタジー要素は時折垣間見えるものの、本筋は骨太な中世騎士物語にして、群雄割拠の萌芽を見せ始める各諸侯達の虚々実々なやり取りと、それに翻弄される愚直な父親と、その家族の物語となっておりました。ファンタジー色を強く求めると失望してしまうが、それを補って余りある物語が紡ぎだされておりました。何と言っても、登場する人物達の多くは癖があって、ヒーロー的な好人物は皆無。むしろ、これだけ気に入った人物のいない小説だと言うのに、ついつい読む進めてしまう魅力があるのが不思議です。
 ちなみに文章は、各章ごとに人物の視点を変えたものとなっていて(重複は多分にあります)、”主人公”と明確に定義できる人物は、スターク家が怪しい、程度でいなかったりします。
 ≪以降、ネタバレ≫
 あとがきなどによると、2部以降はドラゴンを手に入れたドラゴンの血統を引き継ぐ古代王朝の最後の姫や、北の壁以北の魑魅魍魎が跋扈するようになるとか・・・期待したい所ではあるのですが、日本では第4部まで刊行されているものの、文庫化は2部までなんですよねえ。本国では、更に七部まで予定されているようで、終わるのであろうか・・・。
 この書籍は、2002年11月に刊行された『七王国の玉座』(上下巻)を、五分冊して文庫化したものです。
I:2006年5月20日印刷 2006年5月31日発行 ISBN:4150115648
II:2006年6月20日印刷 2006年6月30日発行 ISBN:4150115680
III:2006年7月20日印刷 2006年7月31日発行 ISBN:4150115737
IV:2006年8月20日印刷 2006年8月31日発行 ISBN:415011577X
V:2006年9月20日印刷 2006年9月30日発行 ISBN:4150115826