『越女剣』読了

金庸 【訳】林久之・伊藤未央  徳間書店(徳間文庫) 409ページ 686円+税
 金庸武狭小説の中短編集にして、文庫版はラスト。これで金庸作品の新作は読めないのが残念。まあ、再読する事はできますが、武狭小説は、先が分ってしまっていると、なかなか楽しみづらいんですよねえ。
 って事で、最後を締めるのは、著者にしては珍しい中編1本と短編2本。
 「白馬は西風にいななく」・・・中篇。カザフ族の中の漢民族の少女が運命に翻弄され続ける作品。全体的にシリアス。
 「鴛鴦刀」・・・短編。一本の刀を巡って結ばれる二人の男女に、英雄好漢、果ては山賊崩れっぽい輩まで登場する作品。コメディっぽい展開が多めで、本作中では、一番金庸武狭小説っぽい内容となっておりました。
 「越女剣」・・・短編。呉越争乱と、これまた著者にしては珍しく近代ではなく古代を舞台にして、史実を多く絡めた作品。史実部分はともかく、それ以外がなんとも微妙。西施の件はやはり・・・。
 この書籍は2001年6月に徳間書店より刊行されたものの文庫化です。
 2011年4月15日初刷 ISBN:9784198933425