『日月両世界旅行記』読了

シラノ・ド・ベルジュラック 【訳】赤木昭三 岩波書店岩波文庫) 476ページ 900円+税
 17世紀フランスの風雲児シラノが記した諷刺小説であり、SF小説の先駆けともなった一冊。もちろん今読むとサイエンスファンタジーなんだけど、当時の最先端科学技術知識が網羅されており、サイエンスフィクションの名に恥じない作品に仕上がっていた・・・はず。
 宗教や社会制度批判に主眼が置かれており、つい納得と言いましょうか、唸らされてしまう箇所が多数あり、非常に興味深い書でした。
 佐藤賢一さんの『二人のガスコン』が前半生を、テリーギリアム監督の『バロン』が後半生を描いているとしたら、この作品は丁度その間のシラノを描いています・・・もちろん両作品とも架空話ですし、この作品の主人公も違いますがね。
 2005年1月18日第1刷発行 ISBN:4003250613