『自己愛型社会 ナルシスの時代の終焉』読了

岡田尊司 平凡社平凡社新書) 238ページ 760円+税
 自己愛型社会と化した日本が今後進むべき道を、古代ローマや、近世と現代オランダの例を挙げて示した書。現代アメリカは過小評価され、オランダ社会に今後の日本の進むべき道があるのではないかと位置づけられているように感じられました。後半はまとまって読み応えのある内容だったのですが、現代社会を断ずる前半がなんとも・・・。基本的に自分は、どんな書籍やニュースでも、著者やコメンテーターの己の回顧から始まる昔は良かった的な現代社会批判は、見当違いが多いと思っています。情報を入手し辛かった昔と大量の情報が垂れ流しとも言えるほど氾濫している現代を比べて世相を判断するのは危ういと思ってますので。凶悪犯罪が昔は少なかったのではなく、座敷牢や地域ぐるみの隠蔽とか単に表面化しなかっただけなんじゃないかと。
 2005年5月10日初版第1刷 ISBN:4582852718