『コラプシウム』読了

ウィル・マッカーシイ 【訳】嶋田洋一 早川書房(ハヤカワ文庫) 575ページ 1000円+税
 超高速伝導物質コラプシウムを発明し、隠遁(研究?)生活を送る主人公が、三度訪れる太陽系の危機を救うためにその重い腰を上げる中篇連作集。ガチガチなハードSFに多少のスペオペ風味を加えてみた作品。巻末の付属書B(用語集)は非常に重宝いたします。
 「ゼロ点場:真空の”なかば満たされた”状態の光子から成る、等方性を持つローレンツ不変エネルギー場の技術的名称。」・・・この意味が分かる方はハードSFとして、この作品を楽しめる事でしょう。宇宙論等はともかく重力理論は必須・・・もちろん、自分はチンプンカンプン。
 表紙の萌えキャラ(10代前半(中身はおばさん?)の捜査局長)を許容できれば、スペースオペラとして楽しめる事でしょう・・・まあ、表紙を飾る割にサブキャラで出番もそれ程多い訳ではないんですけどね。ってか裏表紙の解説はインチキだろう。
 って事で、それらを抜きにしても、非常に面白い良作です。なんでも続巻があるらしいのですが、翻訳される日を心待ちにします。
 2006年3月20日印刷 2006年3月31日発行 ISBN:4150115540