『日本語の歴史』読了

山口仲美 岩波書店岩波新書) 230ページ 740円+税
 日本語の変遷を、具体例をあげつつ理解しやすく平易に記した書。万葉仮名、漢字、ひらがな、カタカナと様々な言葉と融合していく様がとても興味深く読めました。現在の日本語に対するスタンスなども記されておりますが、頑迷に昔の日本語は素晴らしかった、なんて事は記されていないのも、好印象。
 昨今、無理な言い換え案が提示される外来語に関しても、著者は「明治時代の西洋語を漢語に翻訳して受け入れていったのは、中国文化の浸透していた時代にマッチした方法でした。でも、現在多くの日本人に浸透しているのはアメリカ文化です。もはや、漢語の翻訳が力を失いつつある時代なのです。だとすると、カタカナ語のまま、意味の定着するのを待って使っていくという方法も、意外に良いと思えます。」・・・一応、この後に不必要なカタカナ語自然淘汰されていき、必要なものはほっといても定着しますと続きます。
 しかし、毎度思うことですが、前島密の「漢字御廃止之議」とか採用されていたらとんでもない事になっていたんでしょうなあ。ただでさえ、ひらがなばかりのぶんせうはよみがたいですからねえ。
 2006年5月19日第1版発行 ISBN:4004310180