『戒名と日本人』読了

保坂俊司 祥伝社祥伝社新書) 275ページ 780円+税
 日本独自に進化した「戒名」を歴史から宗教的・文化的な観点で分かりやすく解説した書。厳格なインド仏教との相違を記し、俗物化する日本仏教にどちらかと言えば批判的・・・と思わせて、いつのまにやら戒名は必要で、むしろ悪いのは「死」に無関心となった現代日本人であると論旨がすりかわっていたのはいただけない。
 それと、難解な要素を併せ持たないから神道は不完全と断定するのは、そもそも日本仏教がここまで(戒律などあってないような)大らかさを持ったのは仏教伝来前の多宗教性にもよるだろうしなあ、と。しかし、こうやって仏教の歴史をまとめて読むと、現代の仏教が敬われない理由がなんとなく分かりました。
 目次は、「戒名とは何だろうか」「仏教史から戒名を考える」「日本人の霊魂観と戒名」「墓や位牌や戒名」「戒名は必要か」となっています。
 2006年9月5日初版第1刷 ISBN:4396110499