『天馬、翔ける』(上・下)読了

阿部龍太郎 新潮社(新潮文庫) 622+653ページ 上:781円+税、下:819円+税
 平安末期、源平合戦での源頼朝義経兄弟の生涯を、どちらかに肩入れするでもなく、むしろどちらをも批判しているかのように代わる代わる描いた作品。と言いましょうか、若い(青い?)考え方をする方は義経に、古い(大人な?)考え方をする方は頼朝に感情移入をしてしまうのかもしれませんな・・・私的には義経の”自分だけ”の思考法には我慢できませんでしたがね。ただし、誰が悪いと言うではなく、木曾義仲も、後白河法皇すら描いているのには好感がもてました。
 ・・・
 <ネタバレ含む>
 残念だったのは、亀姫が謀殺された後の頼朝の行動や心情が描かれていないのと、義経も奥州に辿り付いた所で終わってしまっている点。特に亀姫死後の頼朝の様子を読みたかっただけに残念。義経打倒にのみ心血を注ぐようになったのか、それも北条政子に唯々諾々と従うだけの男に成り下がってなのか、非常に気になります。
 この書籍は平成16年12月に刊行されたものの文庫化です。
上:平成19年8月1日発行 ISBN:9784101305196
下:平成19年8月1日発行 ISBN:9784101305202