『バチカン―ローマ法王庁は、いま』読了

郷富佐子 岩波書店岩波新書) 232ページ 740円+税
 カトリック教会の総本山・世界最小国家バチカンローマ法王庁に関する書。歴史的な経緯は極力省いて、ヨハネ・パウロ2世と現在のベネディクト16世になってからのローマ法王庁がイタリア社会と世界に与えている影響を記しています。
 政教分離を唱えながらも、道徳に関しては政治に多大な影響・・・むしろ、妨害工作までする法王庁もですが、イタリア人がここまでカトリックに従順なのか? と、最近読了した『イタリア・マフィア』と比して考えさせられます。それと、この手の世界政治・宗教・民族ものにとって、9.11は多少なりとも影響しているんだなあ、と。
 ちなみに自分は、宗教が戦争を生み出すのではなく、戦争する為の方便としていた宗教に翻弄されている、という考えです。
 目次は、「揺れるバチカン」「法王の代替わり―ドキュメント・サンピエトロ広場」「バチカン探訪―ローマ法王法王庁」「ヨハネ・パウロ2世の時代―「空飛ぶ聖座」の四半世紀」「バチカンを見つめる世界の目―宗教化する世界の中で」「イタリアの中のバチカン―暮らし、政治、宗教」「教会はどこへ向かうのか」となっています。
 2007年10月19日第1刷発行 ISBN:9784004310983