『幕末維新と佐賀藩 日本西洋化の原点』読了

毛利敏彦 中央公論新社中公新書) 226ページ 760円+税
 幕末から明治にかけて他藩の追随を許さない程の西洋先進技術を持つに至った佐賀藩の歴史を記した書。長崎御藩→鍋島閑叟江藤新平を主軸に置いて、薩長土肥の中で一番地味・・・下手すると人名さえ浮かばないかもしれない佐賀藩が、実は政局に多大な影響を与えた事が記されています。中でも明治新政府となってから、腐敗する薩長に対して、江藤の孤軍奮闘っぷりは、政治は結局有能な人物がどれだけの割合存在するか、ってだけの違いである事を改めて実感致しました。
 佐賀藩を主眼に置いておりますので、他藩・・・特に薩長閥の中でも大久保利通は酷い扱いとなっています。
 目次は、「長崎御藩」「鍋島閑叟の登場」「日本開国」「尊皇攘夷佐賀藩」「江戸幕府瓦解」「明治新政」「国民教育への道」「初代司法卿―人権の父」「暗転―明治六年政変と佐賀戦争」「明治維新史を見直す」となっています。
 2008年7月25日発行 ISBN:9784121019585