『嶋左近』読了

山元泰生 学陽書房(人物文庫) 347ページ 840円+税
 戦国武将・嶋左近の生涯。石田三成の配下となってからは有名ですが、この書籍では、松永久秀との戦いなど謎に包まれた筒井順慶下の左近に敢えてスポットを当てておりました・・・少ないですがね。
 何気、最期の晴れ舞台である関ヶ原の敗戦理由を、全て石田三成の優柔不断と采配ミスに科して、この手の主従ものでは、外因要素に転嫁させて済ませてしまうのを、敢えてそうしない事で――読者を左近と同じ気持ちにさせられて――三成に対して非常にヤキモキさせられる作品となっておりました。
 直前に読んだ『豊臣秀長』での石田三成とは、90度〜180度程度違う性格になっている三成は、歴史小説の醍醐味を味あわせて頂きました。
 この書籍は2001年7月に小学館スクエアより『戦国軍配者 嶋左近』として刊行されたものの加筆・訂正しての文庫化です。
 2008年8月20日初版発行 ISBN:9784313752382