『岳飛伝』(全5巻)読了

 【編訳】田中芳樹 講談社講談社文庫) 297+290+328+342+285ページ 1・2・5:571円+税、3:590円+税、4:619円+税
 宋朝末期、金国の侵略に一生を捧げた岳飛の生涯・・・と言っても、4巻で奸臣・秦檜の罠に嵌って退場してしうまんですがね。あまりに岳飛が清廉過ぎて、外患は真っ当で内憂の腐りっぷりが酷いばっかりに、何故ここまで従うのか、と微妙にストレスが溜まりました。まあ、後半の金国内部も、どうしようもなくなってしまいますがね。
 そこかしこに『水滸伝』キャラが登場するのは面白いものの、総じて扱い悪し。中でも呼延灼は・・・。
 内容的には岳飛の死までは面白いのですが、死後は蛇足と言いましょうか、中国歴史小説の毎度のパターンでした。
 そう言えば、中国では”牛皐”が人気ありげな事を記されていたけれど、『三国志』の張飛、『水滸伝』の李逵と民衆に愛されるのは、頭の弱い暴れん坊と似たタイプ(牛皐は弱いけど・・・)になっていますが、むしろお上への反逆精神高めって点が、民衆人気に繋がっているのかなあ、と邪推してしまいますな。
 この書籍は2001年4月〜9月に中央公論新社より刊行されたものに加筆訂正を加えた文庫化です。
〈一〉「青雲篇」:2007年8月10日第1刷発行 ISBN:9784062758192
〈二〉「烽火篇」:2007年10月16日第1刷発行 ISBN:9784062758703
〈三〉「風塵篇」:2007年12月14日第1刷発行 ISBN:9784062759182
〈四〉「悲曲篇」:2008年2月15日第1刷発行、2008年9月16日第2刷発行 ISBN:9784062759748
〈五〉「凱歌篇」:2008年4月15日第1刷発行 ISBN:9784062760256