『カエサルを撃て』読了

 佐藤賢一 中央公論新社(中公文庫) 485ページ 743円+税
 古代ガリアを舞台に、ローマの英雄カエサルと、ガリア王ウェルキンゲトリクスの戦いを描く作品。英雄同士の華々しい戦いが描かれるやと思いきや、この著者がそんな甘い訳もなく・・・。カエサルは薄毛を気にする中年男、対するヴェルチンは天衣無縫な野蛮人の若者として人間臭さ丸出しに描かれます。特にカエサルの壊されっぷりと、後半突如英雄としての片鱗を見せる様は読んでいて感動もの。
 ちなみに、戦記ものだと言うのに、どちらにも肩入れしたくない軍勢になっているのは見事。
 2004年5月25日初版発行 ISBN:4122043603