『ヒトはなぜペットを食べないか』読了

山内昶 文藝春秋(文春新書) 193ページ 680円+税
 人間の禁忌に纏わる書。主は犬食、猫食などのペット食に関してなんですが、カニバリズムや獣姦、近親相姦などの禁忌を含めた大きなテーマとなってます。その時代や所属する民族中心の観点から、他の文明を批難する(現代にも通じる)愚に警鐘を鳴らしています。ただ、禁忌のシーンを嬉々として描いているようなのが、ちょっと趣味悪っと思いました。犬の肉に関しての感想でも、「調理法にもよるから、著者には判断がつきかねるので、ここは一つ読者のあなたに試して頂いたほうがよさそうである」って、そういう事をしないから、するって事を知りたいのに・・・。
 それと、ペットを飼う人間を見下したような物言いが――もちろん高価な犬猫を購入するのは、自分もどうかとは思うけど――随所に垣間見えるのがなんとも。老年の作家には時折見受けられるけど・・・自分の年代以下は全て見下されています。
 関係ないけど、”パソコンを使わない主義”ってのは、使えないから使わない、とは違うんだろうなあと。
 平成17年4月20日第1刷発行 ISBN:4166604392