『被差別の食卓』読了

上原善広 新潮社(新潮新書) 204ページ 680円+税
 被差別部落出身の著者が、世界の被差別の村を訪ねて、その料理を紹介する書。アメリカ、ブラジル、ブルガリアイラク、ネパール、そして日本が紹介されています。アメリカ、ブラジル辺りは純粋に料理の紹介に終始していますが(迫害が無い訳ではないけど、弱まっている地域)、後半は料理よりもその差別に関しての記述が多くなっています。特にイラクでは、マイノリティを保護していたフセイン(と言っても、軍人にするためにですが)が、アメリカの横暴によって打倒されたがために、イラク人に迫害される生活に戻されてしまったロマ達の叫びに重点が割かれていたりします。
 料理自体はともかく、ブルガリアとかネパールでは著者が無理矢理料理を作らせているようなのが、読んでいて辛かったです。敢えて差別されないために牛肉を食べないようにしていた家族に牛肉料理を作らせ、代わりにすき焼きを食べさせるって・・・。
 2005年6月20日発行 ISBN:4106101238