『海東青 摂政王ドルゴン』読了

井上祐美子 中央公論新社(中公文庫) 353ページ 686円+税
 明末から清初にかけて清の太祖ホンタイジに仕え、ホンタイジ死後は幼帝の摂政として清を支えたドルゴンの生涯。39歳という若さで亡くなるドルゴンを、No.2でこそ幸せに生きられた男として描き、ホンタイジの早過ぎる死によってNo.1に押しやられ、焦燥感に煽られるかの如く生を消費していく様は非常に痛々しかったです・・・まあ、幼帝の母親を妻に迎える等、都合の悪そうな箇所は美化するように描かれたりしておりますがね。
 専門書を除くと明末の小説って、明側は多々あったけど、清側は少ない印象があったので、とても新鮮ではありました。この著者の呉三桂を主人公にした『紅顔』と併せて読むと面白いかもしれません。
 この書籍は2000年6月に刊行されたものの文庫化です。
 2005年9月25日初版発行 ISBN:4122045819