『西太后 大清帝国最後の光芒』読了

加藤徹 中央公論新社中公新書) 284ページ 800円+税
 清末期、慈禧端佑康頤昭豫荘誠寿恭欽献崇熙皇太后(俗称・西太后)の生涯。日本に伝わる俗説を引きずった内容ではなく、中国での中国共産党史観に彩られた内容でもなく、最新の学説と豊富な史料に裏打ちされた西太后の真実の姿をとらえ直そうという書籍でした。西太后が(色んな意味でも)人類史上稀に見る女傑であり、権力を握った女性らしい行動を具現化した存在なのやもしれませんなあ。
 そう言えば、中国映画で『西太后』という作品がありましたが、実際は映画内で肉達磨にされた女性も天寿を全うしていたりと、誇張捏造された作品である事を再認識させて頂きました。
「日本人は、自分たちは中国を良く知っていると思い込んでいる。その実、日本人の興味関心は、三世紀の三国志とか、八世紀の李白杜甫など、一部の時代に偏っている。-中略-もし仮に、日本史を学ぶ外国人が、三世紀の邪馬台国の時代と八世紀の奈良時代しか知らず、江戸と明治についてまったく無知であるなら、現代日本人を理解できるだろうか?」
 多少極端ではあるけど、概ね同意。
 2005年9月25日発行 ISBN:4121018125