『連城訣』(上・下)読了

金庸 【監修】岡崎由美 【訳】阿部敦子 徳間書店(徳間文庫) 344+349ページ 各762円+税
 金庸武侠小説中、最も主人公が酷い目に合う作品と言われているらしく、『神?剣侠』の主人公も腕切断とか大概だったけど、そんなん比ではない程の不幸っぷり。しかも延々そんな感じに進んで最後も・・・な為、カタルシスも何も沸かずに終了してポカーンとしました。まあ、意表をついた展開と読書の中断を困難にさせる面白さは相変わらずなんですがねえ。
 《以降、ネタバレ含》
 後半になるにつれて、どう考えてもページ数が足りないだろう、と思っていたら、案の定超展開の連続であっさり終了して拍子抜け。まさか、敵側が自滅していくだけの内容で主人公はほとんど何もせずだったのは消化不良以外の何物でもありませんでした。
 下巻の解説を『機動武闘伝Gガンダム』の監督である今川泰宏さんが記されておりました。金庸作品から東方不敗を拝借した話は知っていましたが、アニメ製作の過程で悪役キャラの記号として仮の名前を「東方不敗」にしていたら、雑誌に誤ってその名前で流出してしまったが故、変更できなくなり、そのままになった、なんて裏話も掲載されておりました。武侠小説ならぬ金庸作品に対する愛を感じました。ってか、後半になるにつれて「!」の多くなる熱い文章になっているのは、らしかった?
 この書籍は2000年1月〜2月に徳間書店より刊行されたものの文庫化です(原作は1963年)。
(上)「菊花散る窓」:2007年4月15日初刷 ISBN:9784198925833
(下)「雪花舞う谷」:2007年4月15日初刷 ISBN:9784198925840