『預言者ムハンマド』読了

鈴木紘司 PHP研究所PHP新書) 290ページ 800円+税
 イスラム教の教祖・ムハンマドの生涯。著者がイスラム教徒であるので仕方ないのかもしれませんが、イスラム教の誤った認識を正すと言うよりも、単純に美化して描く反面、多神教や(一神教でも)ユダヤ教など他の宗教への舌鋒は鋭いです。あまり描かれる事のない(?)ムハンマドの実像というので期待していただけに、その生涯を淡々と描いてくれれば興味深い読み物になっていたものを、時折入る著者の私見・・・イスラム教の中でも悪いのはいるけど、それは個や特定の集団だけ、他の宗教の人間=全悪的に読み取れてしまう件などは、むしろ逆効果なのでは・・・ちょっと残念でした。
 目次は「一神教世界の相克」「「象の年」の生誕」「平凡な民から預言者へ」「四十歳の召命体験」「マッカでの宣教と迫害」「マディーナ聖遷」「聖戦の軌跡」「イスラームの完成」「最期の旅路」となっています。
 2007年8月24日第1版第1刷 ISBN:9784569693644