『浅井長政正伝 死して残せよ虎の皮』読了

鈴木輝一郎 学陽書房(人物文庫) 601ページ 1000円+税
 戦国武将・浅井長政の生涯。基本、家族愛に生きた長政視点なのですが、むしろ自分とは違う武将として長政を愛する織田信長の視点に比重が置かれているようにも感じられました。そして、愚直な長政よりも、人間として複雑な信長の方が面白いのはなんとも・・・それと底の知れない秀吉の不気味さは良かった。ちなみに、浅井家滅亡の元凶・浅井久政に関しては、平和を愛する治世の能臣といった感じに描かれておりますが、やはりダメ親父なのは変わりませんでした。
 冒頭、信長と長政の濃密な衆道シーン中(綺麗に言うとBL? 30過ぎてボーイズもないか)に、過去が回想されて、それに突っ込みを入れる信長は何気シュール。
 この書籍は2000年7月に『死して残せよ虎の皮 浅井長政正伝』として刊行されたものの文庫化です。
 2007年9月20日初版発行 ISBN:9784313752283