『戦艦大和 生還者たちの証言から』読了

栗原俊雄 岩波書店岩波新書) 218ページ 740円+税
 太平洋戦争時、沖縄水上特攻途上で沈没した「世界最大・最強の戦艦」大和。その航跡や、特攻の真相を、生還者や遺族のインタビューから読み解いた書。甲板に散らばった死傷者の収容を素手で行いながら、その血だらけの手で握り飯を食べる、撃墜して漂流するアメリカ兵を容赦なく撃つ等、大和関連だと美化されがち(?)な戦争の異常性をも記しています。

戦争は何でもありですよ。
無抵抗の者を撃つのは卑怯、というのは平和の時の心理です。場面が変われば自分が殺されるかもしれない。それに目の前の敵が、自分の親族や戦友を殺したかもしれないんだから

 と、大和沈没後の漂流時、米軍機から機銃で撃たれる中、生還された方は仰っていますがね。
 生還者バッシングに、生還者側での生還してしまったという自責の念、等は読んでいると辛いです。
 目次は、「誕生」「初陣」「海戦」「出撃」「沈没」「生還」「責任」「遺族」「戦後」「真相」「未来」となっています。
 この書籍は、毎日新聞夕刊に「戦艦大和―生還者たちの平和希求」「続 戦艦大和―遺族たちの戦後」を新しい構成で書き下ろしたものです。
 2007年8月21日第1刷発行 ISBN:9784004310884