『倚天屠龍記』(全5巻)読了

金庸 【訳】林久之阿部敦子、【監修】岡崎由美 徳間書店(徳間文庫) 505+507+493+502+461ページ 各800円+税
 《射雕三部作シリーズ》の完結作品・・・と言っても、『射雕』から『神?』が連続した作品だったのに対して、本作は序盤こそ前作主人公の娘・郭襄が登場するものの、あっという間に約100年後、と、ほとんど別物でした。『Z』→『ZZ』の次が、『V』に飛ぶようなものか・・・もう少し関連性はあるか?
 と言う事で、モンゴル王朝の元からの独立と倚天剣と屠龍刀を巡る争いを明朝建国まで描く物語。主人公が、復讐を避ける平和主義者で武功も天下一、ただ優柔不断で流れに逆らえない為、問題が次々と発生すると、読んでいてイライラする事しきりでした。続きの気になる展開の連続と謀略合戦はさすがなんですけどね。私的には、史実に絡まされると弱いので、朱元璋が良い奴として登場した時は、先が分っているので、明朝建国後とのギャップをどう補うんだ、と思いきや、朱元璋はやはり朱元璋でした。
 【ネタバレ】私見)第一部のヒロインはツンデレ、第二部のヒロインはクーデレでしたが、この第三部のヒロインは、4人程いるものの・・・まともなのは1名だけで、あとは毒を盛ったり騙すのは日常茶飯事、寝ている隙に他の女の顔を切り刻んだり、好きだから殺そうとしたりと問題児ばかり・・・ちょっと曲解していますが、世に言うヤンデレ揃い? そもそも一名は、敵として悪辣非道を平然と行っていたのに、後半寝返って地味になって「えっ?」でしたからね。
 って事で、4人のヒロインの内、誰を選ぶのか、も、この作品の読み所ではあるのだけれど・・・まあ、なんと言いましょうか、女性は怖いなあ、と。
 この書籍は2000年12月から2001年4月に刊行されたものの文庫化です。
(一)「呪われた宝刀」:2008年1月15日初刷 ISBN:9784198927189
(二)「黒い刻印」:2008年1月15日初刷 ISBN:9784198927196
(三)「盟主の条件」:2008年2月15日初刷 ISBN:9784198927394
(四)「魔女と魔剣と」:2008年3月15日初刷 ISBN:9784198927547
(五)「選ばれし者」:2008年4月15日初刷 ISBN:9784198927660