『バイオポリティクス 人体を管理するとはどういうことか』読了

米本昌平 中央公論新社中公新書) 271ページ 840円+税
 バイオポリティクス、遺伝学等の専門的な内容から、各国の現状から政治判断・法律まで、生命に関して多岐に渡って解説した書。
 前半は、専門的事柄となっているために理解に苦しむ箇所が多々ありましたが、後半は各国のシビアな内情に移植の善悪まで非常に興味深く読めました。貧しい者が自らの体を切り売りするってのは可愛いもので、中でも象徴的なのはアメリカでの「(美容整形等の金になる場合以外)火傷などによる緊急用には渡せない」と断言している業者が皮膚の大半を管理している現状。NGOが遺族から無償で手に入れた死体を業者に横流しして利益を得ている等。
 実際、人体の移植や臓器売買、実際どこまでが許されて、どこからが許されないのか、難しい問題ではありますな。ちなみに日本は・・・相変わらず。
 目次は、「バイオポリティクス―身体政治革命」「科学革命としてのヒトゲノム解読」「バイオバンクとは何か」「ヒト胚の政治学」「人体部分の商品化」「欧州的秩序の確立」「人体保護庁の誕生」となっています。
 2006年6月25日発行 ISBN:4121018524