『中国・アジア・日本―大国化する「巨龍」は脅威か』読了

天児慧 筑摩書房ちくま新書) 222ページ 700円+税
 日中関係は今後どのような形となるのが良いのか、そしてこの両国はどのような外交を繰り広げているのかを記した書。どちらに視点を置くでもなく冷静に両国の力関係や、反日・反中へと至る両国民の感情をも分析します。
 以前はともかく、日本の外交が中国の外交に比して、ここ数年小手先だけのお粗末な状態に陥っている愚が伺えます。アメリカすら中国寄りと言いますか中立な現在、著者は「「米国か、中国か」といった二項対立的発想を超克する創造的な知的営為が問われているのである。」と、なんとも無茶な注文を・・・。
 と、あとがき直前までは非常に読み応えあったのですが、あとがきで(私的には)台無し。「魅力ある日本」を形成するためには人間性の育成が必要等、言わんとしたい事は分からなくは無いんですけどね。
 目次は、「日本・東アジアを取り巻く新しい可能性」「反日・反中問題をどう捉えるか」「台頭する中国と病める中国」「対米外交と「和諧」戦略」「東アジア共同体と新国際秩序構想」「日本外交をどう展望するか」となっています。
 2006年10月10日第1刷発行 ISBN:4480063269