『立花道雪 炎の軍扇』読了

西津弘美 学陽書房(人物文庫) 362ページ 840円+税
 戦国時代、九州大友家の勇将・立花道雪の生涯。宗茂の小説は多いけれど、その義父である道雪の作品は少ないから稀少。そして、その信義に生きた人生と報われなさが、これまた人気なんでしょうなあ。しかし、大友家は特に多いのだけれど、主君の一字”鑑(あき)”をもらうため、名前が混乱してしまいます。
 何気、大友宗麟は無能・・・とまでは言わないものの、父親から受け継いだ地盤と、有能な家臣に支えられて君臨している位置付けとなっておりました。《信長シリーズ》の影響なのか、政治力等高めな武将というイメージがあったけれど、この書籍の宗麟を数値化したら、60前後か?
 ちなみに、愛娘・ギン千代の扱いは、格段に良い。まあ、彼女が彼女らしくなるのは道雪死後であるのだから、当然と言えば当然なのだけれど、宗茂と運命の絆で結ばれていたかの様な設定は、今後の史実を踏まえると哀しくなります。
 この書籍は1998年2月に叢文社より「炎の軍扇 立花道雪 改訂版」として刊行されたものを加筆・訂正した文庫化です。
 2009年7月21日初版発行 ISBN:9784313752481