小原克博、中田考、手島勲矢 PHP研究所(PHP新書) 289ページ 780円+税
キリスト教、イスラーム、ユダヤ教における原理主義の定義を読み解いた書。原理主義、並びに一神教に対する日本での否定的な捉え方を、無理解から生じる誤ったものとして、キリスト教、イスラーム、ユダヤ教のそれぞれの思想専門家が解説します。宗教毎で著者が異なる為、内容に大きな差異が生じており、キリスト教は世俗的で読む易く、イスラームは学術的で読み難く、ユダヤはその中間と言ったテイストでした。私的にはシオニズムの発生過程がなかなか興味深かったです。
「多神教には、寛容、自然との共生といったイメージが割り当てられることになる。端的にいうなら、多神教の一神教に対する優位性を語るために、一神教と多神教の比較がなされているのである。」
目次は、「なぜいま「原理主義」を問うのか―原理主義と一神教によって開かれる問題の地平」「[座談会]日本人にとっての原理主義」「キリスト教と原理主義―変遷する原理の過去と未来」「イスラームと原理主義―歪められた実像」「ユダヤ教と原理主義―シオニズムの源流を求めて」となっています。
2006年10月3日第1版第1刷 ISBN:4569655777