『ドストエフスキーの人間力』読了

齋藤孝 新潮社(新潮文庫) 293ページ 483円+税
 ドストエフスキー作品に登場する”過剰な人々”を取り上げて、ドストエフスキー自身の魅力を語る書。ロシアの世情や風土・宗教など作品を生んだ土壌部分には触れず、”人間”重視に終始。その為、最近読んだドストエフスキー論と比すと、ちと物足りないものとなっておりました。ちなみに、その著者・亀山郁夫さんが、解説を記しております。
 「私たちはなぜ本性というのは「垣間見られる」ものだと思いこんでしまうのだろう。ふだんずっと誠実であり続けた人間が、ふとした拍子に不誠実を見せると、不誠実なのが本性のように思えてしまう・・・」は、たまたま色々あって合点しました。ええ、普段悪行を行っている不良が、雨の中子猫を助ける・・・ってな、大嫌いなシーンものですな。猫を助ける事は別に良いのですがね。
 この書籍は2004年11月に刊行された「過剰な人」を改題した作品です。
 平成20年6月1日発行 ISBN:9784101489230