志茂田景樹 講談社(講談社文庫) 327ページ 590円+税
戦国武将・高坂弾正忠昌信が、武田信玄の実像に絡めて自らの人生を語る作品。 『甲陽軍鑑』を高坂に語らせる内容なだけかと思っていたら、著者ならではの奇抜な発想による新解釈となっておりました。
【以下、ネタバレ】
温厚で臆病な凡将と、冷徹な名将としての二面性どころか、完全に二重人格として描かれる武田信玄。更に後者になると姿を醜く変貌させ、それを隠す為、信玄の影武者として容貌の似た山本勘助を軍師に仕立てるってな設定は面白い。
ただ、後半の山場になるはずの第4回川中島が結構あっさりだったのは残念。もう少し、勘助には頑張ってもらいたかった。信玄が徐々に二つの性格を統合させていく様とか良かっただけにね。
2008年7月15日第1刷発行 ISBN:9784062760966