『三国志 第四巻』読了

宮城谷昌光 文藝春秋(文春文庫) 390ページ 600円+税
 宮城谷三国志(文庫版)の第四巻は、曹操の飛躍と、劉備が徐州を引き継ぐまでの話。
 曹操は、青州兵を仲間に引き入れてからは、父・曹嵩の敵討ちで徐州に攻め込むなど、献帝を招き入れるまで如才なく活躍していたのかと思いきや、呂布に国を取られるかけるなど、まだまだ青いところを見せるのでした。演義では、好々爺っぽいイメージのある陶謙が、腹黒いイメージとなっていて、孔融に大してもだけれど、血筋を誇るタイプの清流派系統の人物は、何か胡散臭いものを感じさせるな描き方がされています。まあ、自らは何も行わず、曹操の血筋を貶めるなどの非難だけに真価を発揮するような人物故、仕方ないのか?
 それと、幼い頃は優秀だが・・・な献帝は、自らは何もなさず、顕示欲だけで助けられた曹操にすら牙を剥くってイメージしかないんですよねえ。今後、どのように曹操と接していくのか楽しみに致します。この無能な人物を旗頭にしている点などは、織田信長に通じると思われがちな所以なのかもしれませんな。
 ちなみに、5巻以降はまだ文庫化されていないので、しばらくおあずけ。
 この書籍は平成18年9月に刊行されたものの文庫化です。
 2009年10月10日第1刷 ISBN:9784167259242