『井伊直正 家康第一の功臣』読了

羽生道英 光文社(光文社文庫) 334ページ 571円+税
 戦国時代、徳川四天王の一人として活躍した武将・井伊直正の生涯。井伊直正が知勇兼備な武将というのは認めますが、ほぼ全てに完璧な武将と賛美され続けているのがなんとも。本能寺の変を示唆したのも直正、家康暗殺を夢で察知するのも直正、家康が何事も相談するのは直正・・・興ざめ以外のなにものでもありませんでした。
 更にこの書籍では、家康と井伊直正が親子であるという説をとり、あとがきで「想像の世界に入り込んで・・・」と記してはいますが、それがため陳腐になってしまっているのは皮肉としか言いようがありませんでした。事あるごとに家康と直正が親子である事を前面に出し、直正が功を挙げる度に、わが子の活躍はどうだ、と言えない悲しさ、と続く文章は、読者に家康と直正は親子なんですよ、忘れてませんか? と問いかけているようで・・・。そして何より徳川家康の井伊直正にだけ見せる呆れるほどの親バカぶりが最悪でした。
 2004年10月20日初版1刷発行 ISBN:4334737749