『第六大陸』(上・下)読了

小川一水 早川書房(ハヤカワ文庫) 349+350ページ 各:680円+税
 日本の民間企業による月面基地(何の基地かは秘密って事で)が完成するまでの様々な困難や障害、現場の苦労や努力を、2025年から2037年までのスパンで、地味に、時に派手に描ききった良作。金銭、重さが多少いじられたものになっているそうですが、それ以外は一部例外を除きあくまでもリアルに拘った作品です。アメリカ政府はダメだけど、NASAはカッコいいんですな、これが。夢を忘れかけた人々への福音となる傑作です。
 それにしても、この著者の作品は、今の所ハズレがありません。最高だと思っていた『導きの星』も、『復活の地』、そしてこの作品と更に上が現れてしまいました。まあ、後半になると突然善良な人間が多くなるのは相変わらずな気もしますが・・・。
 星雲賞(日本長編部門)受賞作。
上:2003年6月30日発行 2004年9月15日3刷 ISBN:415030727X
下:2003年8月20日印刷 2003年8月31日発行 ISBN:4150307350