『GOTH 全2巻』読了

乙一 角川書店(角川文庫) 190+253ページ 夜の章:438円+税、僕の章:476円+税
 第三回本格ミステリ大賞受賞作。猟奇殺人に惹かれる少年と少女を軸に、残虐な殺人行為を行う異常者達を絡めた6編の短編集・・・連作短編って訳ではないかな。個々の感想は特に記しませんが、「土」と「記憶」は私的に好きでした。また、「犬」や「声」は映画、ドラマ、漫画等では絶対表現できない・・・したら興ざめな内容になっているのも面白かったです。それと、この作品を読もうと思われている方は書評や紹介文(すら)読まない事をお勧めします。面白さ半減となりますので注意してください。
 ちなみに、この作品は犯人を捕らえて・・・ってな展開は皆無。主人公はただ知的好奇心を満足させたいだけであるため、犯人を弾劾する事も警察への通報もしません。そんな訳で、人によっては残虐描写も多いですし、読後感は最悪やもしれません。
 それにしても、乙一さんはこういった暗黒系と、スニーカーのせつなさ系とを見事に書き分けておられますなあ・・・ってか、作中の「僕」同様、表向きなせつなさ作家と裏向きな暗黒系作家を使い分けているんだろうか。
 この書籍は平成14年7月に刊行されたものを二分冊した文庫化です。
「夜の章」:平成17年6月25日初版発行 ISBN:4044253048
「僕の章」:平成17年6月25日初版発行 ISBN:4044253056