『日中戦争の全貌』読了

太平洋戦争研究会【編】 森山康平 河出書房新社河出文庫) 353ページ 780円+税
 満州事変から日本敗戦までの日中戦争の流れを、中国大陸で行われた日本軍の作戦や、軍隊の増派兵を軸に記した書。序章で中国寄りと思わせつつ、本編はどちらにも立脚せずに淡々と行われた行為、鷹懲・虐殺に対する記載を行っております。様々な文献を挙げて中立的に記そうとしている点、太平洋戦争開戦後の中国大陸での日本軍の行動(太平洋戦争に従事した兵数よりも多い兵がいた)に注視している点の二点は評価できるかと思います・・・偉そうですいません。日本軍が、何の定見もなく(と言うか、まとまりもなく)、思いつきのように戦争を継続して泥沼にはまっていく様が描かれます。
 ちなみに、南京大虐殺に関しては、肯定でも、否定でもなく、偕行社の発表に準拠しております。
 この書籍は、2000年にふくろうの本「図説 日中戦争」を元に文庫化したものです。
 2007年7月10日初版印刷 2007年7月20日初版発行 ISBN:9784309408583